先週はレコーディングをする機会がありました。
ソナタを二作品だけ録音・録画したのですが、当日は一日がかりで音を撮りました。
レコーディングは普通のコンサートよりも更なる気力が必要となります。繰り返し聴くことを前提とする為、気の使うことがコンサートとは異なるからです。
よっぽど疲れ果てたのか、体力が復活するのに二日かかりました。
さて、今回は古楽器について、少しだけご紹介したいと思います。
少しというのも、古楽器について語ろうとすると、一体何日かかるか分かりません。。。
古楽器とは字の如く、現代において一般的に使用されている楽器(モダン楽器と言われる)と区別された、主に18世紀(1700年代)以前のタイプの古い楽器のことを指します。管楽器においてはそのデザインや様式がモダン楽器と違い、弦楽器では使用されている弦や、弓が異なっています。
そして、音楽作品が作曲された当時に使われていた、それらの楽器を用いて演奏することを、ピリオド演奏またはピリオド奏法などといいます。
しかし、例えば18世紀の視点からすると現代で言う古楽器は当時のモダン楽器ということになります。
ひと昔前は、モダン楽器を上手に演奏出来ない人が古楽器を演奏する、というような風潮もありましたが、、、現在は正しい認識がされていることを願います。
といいますのも、モダン楽器と古楽器のどちらも演奏する身として言えるのは、古楽器をモダン楽器の妥協として演奏することは、はっきり言って不可能です。
寧ろ、演奏の基礎がなければ、古楽器を本当に演奏する事は決して出来ません。
そのような現実にもかかわらず近頃残念に思うのは、古楽器はじめました、などというようなハッシュタグがあるほど、古楽器がモダン楽器を演奏する方にとって軽視されていることです。
現在、世界中のほとんどの国で古楽科が存在しています。
未だに古楽科が副科としてのみ勉強することが出来ないような音楽学校が存在する日本は、かなり遅れをとっているように感じます。
この現状も、古楽器が軽視されている要因かもしれません。
現代の私たちが見ているものは、現代に至るまでの音楽と楽器の変遷です。
数年前、モーツァルトは木の棒の為ではなく将来の銀製フルートの為に作品を残した、と言い放ったとある音楽大学教授もいらっしゃいましたが、果たしてそうなのでしょうか(今改めてその記事を読みましたが、リコーダーと勘違いしているようです、、、)。
モーツァルト(1756生-1791没)は金属製のフルート(ベーム式フルート1832年発明)や鋳物のフレームで出来たピアノ(スタンウェイ1853年生産開始)を見た事はないはずです。
モーツァルトが生きていた時代の楽器でモーツァルトを学ぶ事は特別なことではなく、基礎中の基礎だと言えるでしょう。
だからこそ古楽器と真摯に向き合い勉強したいと、自分は思う次第です。
また、自分が学生時代、とある先生に古楽器の勉強をすると伝えたところ、とても酷いお言葉を頂戴したことがありましたが、先日、なんとその先生ご自身が古楽器の演奏会を開かれていらっしゃるのを拝見しました。
どのようなお気持ちで演奏されたのかしらと、こちらが何とも複雑な気持ちになりましたが、時代が変わりつつあることに対して、良かったと思っています。
そんな、なんだか複雑にも思えるかもしれない古楽器ですが、まだお聴きになられたことがない方、楽器に触れられたことがない方は是非一度、聴いて頂けたら幸いです。
音楽の素敵な魅力をたくさん伝えてくれることでしょう。
このブログの初めにお話したレコーディングの詳細は追ってお知らせ致します♪
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